2008年10月09日 (23:23)

ポールソン財務長官の銀行国有化案と「多極化」路線、即ち、深層差異共振経済路線

ポールソン財務長官の銀行国有化案は暫定的であり、その後のことを念頭を置いていよう。田中宇氏的に言えば、多極化路線である。これは、トランス同一性主義金融資本主義(トランス・「ヤハウェ」的資本主義)であり、深層は、差異共振経済と考えられる。恐るべきアメリカ政権である。
In return, the law gives the Treasury the right to take ownership positions in banks, including healthy ones.
と言っているから、正に銀行国有化案である。
 日本の記事では、「金融機関への資本注入」と述べられているが、それより、はるかに踏み込んでいるのである。日本の新聞は死んでいる。
 またアフガニスタンの危機はイラン戦争の布石か? というより、「多極化」路線=深層差異共鳴経済路線であると考えられる。

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 【ワシントン=西崎香】ポールソン米財務長官は8日の記者会見で、3日に創設した最大7千億ドル(約70兆円)の不良資産買い取り制度について「金融機関への資本注入や住宅ローン資産の購入などに使うことができる」と強調し、実質的に資本注入は可能との見解を示した。

 米財務省は、数週間後には本格的な買い取りを始める見通し。金融危機の沈静化には損失を抱えた銀行などの資本増強が不可欠なため、ある程度は同制度で対応できるとの姿勢を打ち出した。英国が大手銀行への巨額の資本注入に踏み切っており、米政府の対策が焦点となっていた。

 同省が銀行などから買い取ることができる資産は、住宅ローンや関連証券のほか「財務長官が連邦準備制度理事会(FRB)議長と相談し、金融市場の安定を促進するために必要だと判断した金融手段」と定義されており、幅広い金融商品が対象。資本注入に使える優先株など株式も視野に入っている。

 実施には議会への書面による報告が必要で、強い監視を受けるが、同長官は「議会からは幅広く、柔軟な権限を得た」と説明した。買い取り制度について、「(創設の)主な動機は(金融機関の)資本を再構成し、強めること」とも話し、「資本注入」の言葉を繰り返し強調。市場を混乱させかねない経営危機に直面した金融機関に対し、機動的に資本を強化できる枠組みも整った、との認識だ。

 不良資産の買い取り制度については、市場関係者から「対象の金融機関や時期、規模などがわかりにくい」との声も目立つ。大手の金融機関の救済には対応しきれない側面もあり、緊急時には個別の金融機関の株式を買い上げる資本注入を実施する構えと見られる。

http://www.asahi.com/business/update/1009/TKY200810090085.html

米財務長官:資本注入示唆…追い詰められた末の転換

 【ワシントン斉藤信宏】ポールソン米財務長官が8日、公的資金による金融機関への資本注入を示唆した背景には、米欧の6中央銀行による協調緊急利下げにもかかわらず、金融危機収束への見通しが立たないことに対する強い懸念がある。

 ニューヨーク株式市場ではこの日も株価の下落が続き、ダウ平均の終値は5年2カ月ぶりの安値をつけた。このまま株安に歯止めがかからなければ、企業や家計の資産目減りが続き、企業業績や個人消費に重大な悪影響を及ぼす恐れがあった。金融危機の事態打開に向けて英国やスペインなど欧州各国は、相次いで公的資金による資本注入を決めている。市場では米政府への政策を催促する動きが強まっており、追い詰められた末の資本注入示唆とも言えそうだ。

 資本注入については、国際通貨基金(IMF)も世界金融安定報告の中で、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う世界の金融機関の損失が計1兆4500億ドル(約145兆円)に達するとの見通しを公表。公的資金の注入を検討するよう各国政府に求めるなど、国際社会からの圧力も強まりつつあった。10日には先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)も控えており、何らかの形で公的資金に触れざるを得ない状況となっていた。

 ただ、大統領選まで4週間を切った米国では、国民の税金を金融機関の救済に使う政策を即座に実施することは不可能に近い。ポールソン長官が資本注入の詳細に関する説明を避けて「数週間で準備が整う」と述べるにとどめたのも、大統領選と両院議員選が終わる11月上旬まで身動きが取れないという事情があるためとみられる。政治空白という特殊事情を抱えて金融危機の深刻化をいかに避けるか。米金融当局には重い課題が課せられている。

http://mainichi.jp/life/money/news/20081009k0000e020045000c.html

2008年05月28日 (01:52)

資本主義の同一性価値蓄積衝動を超える経済を目指して:脱資本主義と先住民族文化(アニミズム)

先に資本主義の衝動は資本蓄積衝動であると言ったが、言い換えると、同一性貨幣価値蓄積衝動である。同一性価値である貨幣資本を増殖させる衝動である。
 有り体に言って、これは、一体何なのだろうか。私はこれをヤハウェ衝動と呼んでいる。数理化すれば、+1⇒-1となるのではないだろうか。否、むしろ、 (+i)*-(-i)⇒-1ではないだろうか。なぜなら、+1の場合は、デリダ的に言えば、痕跡ないしは差延があるから、同一性主義は相対化されると考えられるからである。
 だから、問題は排除的否定が発生して、貨幣資本を増殖させる同一性主義となることにある。それは、他者=差異をすべて同一性価値に還元する志向性である。いわば、触れるものがすべて黄金に化するミダス王のようなものである。
 正に、父権・男性的衝動である。ルサンチマン衝動でもある。この同一性衝動を脱構造化するトランス資本主義はどうやって形成されるのだろうか。
 ゲゼルの消滅通貨の考え方は一つのトランス資本主義の考え方であろう。同一性が増殖せずに、消滅するという通貨は、確かに、鋭いアンチテーゼである。
 確かに、利子の問題が大きいだろう。また、土地の資産化も問題である。ここでは、想起することを述べるが、利子の発想とは、思うに、農耕や牧畜の発想と近いのではないだろうか。たとえば、稲は、一粒の種が死して、多くの実をつけるのである。何倍だろうか。千倍くらいだろうか。あるいは、羊や牛を殖やすことは、富となるだろう。
 ここにあるのは、量的な発想である。いわば、数量還元主義である。質の考慮が欠落しているのである。
 思うに、いわゆる、先住民族、アイヌやインディアン等のアニミズムの方が、「環境」との関係において、生活文化を考えるので、脱資本主義のアイデアはそちらに見出せるのではないだろうか。私は、こちらの方が、ゲゼルの思想よりもラディカルのように思えるのである。
 自然環境と結びつけて経済を考える、いわば、自然経済学があってもいいだろう。当然、これは、社会環境との結びつきも考慮するのである。だから、自然社会経済学である。
 これについては以前、総論的に考えたことがある。簡単に言えば、自然・社会にフィードバックさせる循環経済、還流経済である。
 自然/社会の基盤から富を得るならば、それは、自然/社会へと還元しないといけないのである。つまり、自然/社会に共振・共鳴するように、富を還元する必要があるのである。つまり、自然創造資本や社会創造資本という形で、還元すべきなのである。
 つまり、経済の目的が、自然/社会創造になるのである。金儲けではなくて、自然/社会創造が経済目的なのである。もちろん、ここには、文化も入るから、自然/社会/文化創造的経済である。自由主義は、差異共振的自由主義へと変換するのである。
 つまり、同一性価値主義から差異共振価値主義へとパラダイム転換するのである。同一性資本から差異共振資本へと転換するのである。貨幣で言えば、同一性価値貨幣が差異共振価値貨幣へと変換することである。
 これは一体どういうことなのであろうか。差異共鳴価値貨幣とは何なのだろうか。それは、差異共鳴価値資本である。それは、差異共鳴価値的商品を売買するものになるのではないだろうか。
 ということは、差異共振価値商品の市場がなくてはならないだろう。ある差異共振価値企業があり、差異共振価値商品を販売する。それを、差異共振貨幣で購入すればいいのではないだろうか。
 これは、人と人、人と自然を共振化していく経済である。共振的相乗効果をもつような経済であろう。思うに、人や自然を救うことが、いわば、儲けになる経済である。
 差異共振精神と結びついた差異共振経済である。精神と物質の結びついた差異共鳴価値経済である。後で、さらに検討したい。

2008年01月27日 (19:54)

料理の哲学:料理と差異共振性:同一性結合体の解体と差異共振創造

鈴木雅明指揮によるバッハ・コレギウム・ジャパンによるヘンデルの名作・オラトリオ『メサイア』の心胸を明るく元気づける、見事な演奏(鈴木氏は、バッハよりもヘンデルの方がよりあっているのではないだろうか。つまり、鈴木氏の音楽性は旋律をくっきり浮き彫りにするのであるが、それは、バッハよりヘンデルに向いていると考えられるからである。)を聴きながら、台所で、カレーを作るため、鍋の野菜のぐつぐつ煮え具合を見ながら、考えた。
 ジャガイモ、ニンジン、たまねぎ、肉が煮える。野菜がくずれて、溶けて、エキスになる。例えば、個体としてのジャガイモである有機体が火によるエネルギーで揺すぶられて、根源要素への還元されるだろう。同一性有機体が解体されて、ジャガイモの差異に還元されると仮定しよう。
 煮詰められて、ジャガイモの差異(差異1)、ニンジンの差異(差異2)、タマネギの差異(差異3)、肉の差異(差異4)へと還元されて、四者が差異共振するのではないだろうか。つまり、差異1*差異2*差異3*差異4という差異共振様態がそこには現象するのではないだろうか。(第三部が始まった。)
 この差異共振様態が料理の味の元となるのだろう。そして、そこへカレー・ルーを入れて、さらに弱火で煮込み、味をより深化させるのである。これも、さらなる差異共振化と言えるだろう。
 つまり、料理とは、食材に熱エネルギーを与えて、同一性有機体を解体させて、差異に還元して、差異共振様態を形成することであると言えるのではないだろうか。
 正確に言えば、同一性有機体の解体というのは、野菜の分子に分解されるということだろう。だから、分子差異になるということである。分子差異1*分子差異2*分子差異3*分子差異4との分子差異共振様態が料理である。
 だから、問題は、野菜有機体は何であるのかである。野菜の分子が結合して、野菜自体になる。分子は本来同一性ではあるが、同一性と同一性と結合して、集合化するのである。この同一性結合体が形成されるとき、エネルギーを放出しているはずである。同一性*同一性⇒同一性集合体+エネルギーである。
 料理のときの熱エネルギーは、この式を反対にするものであろう。即ち、同一性集合体+エネルギー⇒同一性(野菜分子)*同一性(野菜分子)である。この同一性を、理論的には、差異と考えることができるのである。
 問題は、分子を結合して、集合体にしている力である。同一性と同一性とを連結する力である。これを問題にしないといけないのである。(盛り上がりがすばらしい。これまで聴いた最高の『メサイア』である。)
 同一性結合力とでも借りに呼んでおこう。これが、物質体を形成しているのである。そして、これを、料理の場合、火が食材という物質体を解体させて、同一性共振様態に還元するのである。
 この同一性結合力とはどういうものだろうか。同一性の連結力とは何か、である。これは、単純に、積の力ではないのか。差異共振力が*であるなら、連結力は・ではないのか。そうとすれば、料理の場合、熱エネルギーは、この積の連結力を解体すると言えよう。つまり、熱エネルギーで揺さぶり、連結力・を差異共振力*に転換しているのではないのか。言い換えると、連結力に熱エネルギーを与えて、物質体のMedia Pointを活性化・賦活・励起することではないのか。つまり、物質のMedia Point=差異共振化である。ここにおいて、物質は、他の物質と差異共振化して、新しい物質(料理)を形成すると思われるのである。思うに、文化とはこのようなものであろう。同一性のままでは、同質のままで、差異共振の質(特異性)をもたないのである。
 以上の料理哲学を経済に適用すると、同一性の物質のままでは、同質であり、高い質・差異共振性を創造できない。量的経済、土建屋的公共投資経済では、社会は進展しないのである。それは、積の経済(量の経済)であり、(国家財政の負債を拡大するだけで、)差異共振経済(質の経済)ではないのである。
 また、金融資本中心主義(サブプライムローンはその狂気である)も、積の経済であり、量的増加のみであり、質的成長はないのであり、バブルとなる運命で、不況ないしいは恐慌が襲うことになるのである。景気循環を起すのである。
 思うに、現代資本主義は、サブプライムローン問題に見られるように、壁にぶつかっているのである。その壁とは、既述したように、同一性・連続性・構造の壁である。モダン/ポスト・モダンの壁である。袋小路である。同一性の積だけを求めているのである。同一性主義とは、狂気なのである。結局、差異共振性へと転換する必要があるということである。
 結局、同一性主義を乗り越えるため、差異共振性をもたらすには、エネルギーを与える必要があるのである。経済の場合は、熱エネルギーというわけにはいかない。ここには、企画等のアイデアのエネルギーが必要である。差異共振的アイデアがエネルギーとなり、同一性結合体に揺さぶりをかけて、解体させて差異共振化させるのである。
 これまでの近代主義的量的同一性経済からトランス・モダン経済へと転換するには、同一性結合体を解体する必要があるのであり、それは、構造改革というよりは、構造解体である。そして、差異共振革新が必要である。ここでは、近代主義的発想をしている人間、とりわけ、近代的知識人・官僚・政治家は足かせである。ここでは、「素人」の方が適しているのである。
 とまれ、同一性構造体となった資本に揺さぶりをかけて、解体する必要があるのではないだろうか。つまり、資本の差異化である。同一性としての資本ではなく、差異としての資本である。差異資本である。そして、多様な差異資本を共振させて、差異共振資本経済、トランス・モダン経済の構築が可能であると考えられるのである。
 そう、資本の差異とは何か。資本の同一性結合体・同一性構造を解体(脱構築・脱構造)したとき現われる資本の「分子」である。おそらく、「量子」と呼んだ方が現代的である。資本の「量子」である。資本の「量子」と資本の「量子」の「核融合」があるのではないだろうか。だから、資本「核融合」である。
 とまれ、資本の差異化、資本のエネルゲイア化が必要である。今日は、資本のエンテレイケイア主導なのである。資本エネルゲイアによって、同一性構造体を解体できるのである。
 資本エネルゲイアとは、資本の特異性である。特異性としての資本である。ここから、差異共振化が生起するのである。今は、ここで留める。後で、もう少し具体的に展開したい。
 

参照:

− 特選アラカルト −

 ▽バッハ・コレギウム・ジャパンのヘンデル2大作品

「オラトリオ“エジプトのイスラエル人”」    ヘンデル作曲
                   (1時間23分37秒)
                  (ソプラノ)野々下由香里
                   (ソプラノ)松井 亜希
                    (アルト)上杉 清仁
                   (テノール)藤井 雄介
                     (バス)浦野 智行
                     (バス)渡辺 祐介
        (合唱、管弦楽)バッハ・コレギウム・ジャパン
                     (指揮)鈴木 雅明
  〜東京オペラシティ・コンサートホールで収録〜
                  <2007/11/23>

「オラトリオ“救世主”」            ヘンデル作曲
                   (2時間18分58秒)
                  (ソプラノ)イエレ・スー
         (カウンターテナー)スティーヴン・ウォレス
           (テノール)ハンス・イエルク・マンメル
                (バス)ドミニク・ヴェルナー
        (合唱、管弦楽)バッハ・コレギウム・ジャパン
                     (指揮)鈴木 雅明
  〜東京・サントリーホールで収録〜
                  <2007/12/24>http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/ch.cgi?area=001&ch=07

2007年05月02日 (00:02)

米国多極主義の意味:情報的差異共振シナジー革命が現在進行形で、量的資本の論理が古くさくなったのだ

以下、田中宇(さかい)氏の興味深い論考である。

今回の安倍首相のアメリカ訪問は、晩餐会が開かれないなど、誰が見ても、冷淡な扱いだったと言えよう。だから、以下の説明は参考になる。

アメリカが多極主義路線ならば、安倍首相の民族国家主義は迷惑である。また、従軍慰安婦問題が日本に牙をむいている。

そう、アメリカの多極主義を仮定するなら、従軍慰安婦問題の解決が確かに重要である。

アメリカは、東アジアないしアジアにおける多極的経済圏を考えているのだろう。

そのとき、近代的民族国家主義は、阻害原因である。

しかし、私がわからないのは、本当にアメリカは多極主義路線にチェンジしたのか、ということである。

頭ではわかっても、ピント来ないのである。

もし、多極主義に切り替えたなら、根本的な経済観の変化があるはずである。田中宇氏は、資本の論理から多極主義を説明している。

しかし、これでは、不十分である。おそらく、力と量の資本からの離脱があるはずである。そう、今日は、いわば、高度情報資本主義である。

おそらく、情報革命が根底にあると思う。

IT革命、フラット化、等である。

そう、プラトニック・シナジー理論では、差異共振シナジー化として、説明する。

どうやら、ここにポイントがありそうである。資本というよりは、情報の差異共振シナジー革命があるのだろう。

卑近にインターネットが生活革命を為している現在を見ればいい。このブログでさせ、Web2.0革命である。
http://www.sophia-it.com/category/web2.0.jsp

思えば、以前、差異共存共創主義と私は言ってきたが、正に、Web2.0はそれである。

結局、情報的差異共振シナジー革命が現在進行形であり、それによって、これまでの量的資本の論理が古くさくなったということであろう。

これが、多極主義を志向する根本の理由であろう。

田中氏が言った「資本の論理」とは、情報的差異共振シナジー革命による資本の論理ということであろう。

量的資本ではなく、質的資本が中心になってきているのである。

完全に、近代主義、近代的資本主義の終焉を迎えていると言えよう。

ポスト・モダンも超えて、トランス・モダン的資本主義革命が最中にあると言えよう。

これは、ポスト資本主義と言うこともできよう。

そう、差異資本主義と私は言ってきたが、正に、そうである。

差異的価値、差異共振シナジー価値が全面に出現しつつあるのである。

これは、人類史的革命である。

近代の終焉である。

私流に言えば、超越的エネルギーの差異共振的多元創造の世界時代に突入したのである。

超越的水平差異共振シナジーのワールド・エポックである。

後で、再考したい。

__________________________________

安倍首相は、4月27日から2日間という短い日程でアメリカを訪問した。これに対する日本とアメリカ(米英)のマスコミ報道の論調は、対照的だった。

 日本のマスコミ報道は、安倍首相とブッシュ大統領が、北朝鮮に対する制裁強化で一致するなど、安倍訪米によって日米が親密さを確認し合ったという見方で貫かれている。しかし、アメリカのマスコミでは、安倍に対して批判的だったり、日米関係がうまくいっていないという論調が目立った。

 最も過激(歪曲的?)なのは、ニューヨークタイムスの東京駐在のノリミツ・オオニシ記者(日系アメリカ人。日本の右派や外務省は彼を毛嫌いしている)の記事である。

 安倍訪米前日の4月26日に流した東京発の記事(Japan Premier to Visit a Politically Changed Washington)では「以前に目立つ訪米をした小泉前首相とは対照的に、安倍は戦争責任について批判的な質問をされたくないので、就任から7カ月目もたってからの初めての首相としての訪米なのに、ワシントンに1泊しかせず、なるべく目立たないよう行動する。こんな日本の指導者は初めてだ」と書いている。(関連記事その1 、その2 )

(安倍自身は、首相が就任直後に訪米する必要がないほど、日米関係は成熟したのだ、と弁解している)(関連記事 )

 日本のマスコミでは、北朝鮮に対する姿勢の日米の一致が、日米の親密さの象徴として示されているが、これと対照的に、オオニシの記事は「北朝鮮は、拉致被害者のうち生存者はすべて帰国させたと言っているのに、日本は、拉致問題が解決しない限り6カ国協議の取り決めを実行しないと言っている。ブッシュが北朝鮮への態度を緩和したにもかかわらず、安倍はいまだに態度を変えず、日米の食い違いが拡大している」と分析している。慰安婦問題についても「アメリカでは保守派の政治家さえ、ナショナリスト(右翼)の安倍と親しくしすぎるのは良くないと言い出した」と書いている。

▼小規模夕食会の理由は批判回避?それとも友情育成?


・・・


▼アメリカだけが重要だった時代の終わり

 戦後の日本の価値観では「アメリカは日本にとって絶対的に重要な国なので、首相が訪米時に中傷・侮辱されても、気がつかないふりをして耐えた方が良い」という考え方が強く、日本のマスコミは「安倍訪米で日米同盟はますます強い絆になった」という「見ないふり」報道が目立つ。しかし、日米を取り巻く情勢を全体的に見ると、もはや日本にとってアメリカだけが絶対的に重要である時代は終わりつつある。アメリカは衰退しつつあり、世界は多極化しつつある。


・・・

 ロイター通信は「アメリカ衰退を示すドル下落」(Dollar decline tracks U.S. fall from grace)と題する記事を流し「アメリカの経常赤字と財政赤字の増加、ドルの下落、ニューヨークが世界経済の中心ではなくなっていることなど、60年前の大英帝国の衰退を思わせるような、アメリカの衰退が起きている」と書いている。(関連記事 )

意味がなくなる日本の対米従属
2007年5月1日  田中 宇


http://tanakanews.com/070501JPUS.htm
プロフィール

sophio・scorpio

  • Author:sophio・scorpio
  • 2004年(平成16年)9月23日、ブログ上で、ODAウォッチャーズ氏(ブログ『海舌』)と遭遇して、新しい理論、不連続的差異論が誕生しました。まったく思いもよらぬ出来事でしたが、この結果、独創的な理論が生まれたと自負しています。とても簡潔な理論ですが、文系、理系の分化を乗り越えた統一的理論で、多くの分野・領域に適用可能だと考えられます。
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