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2009年02月08日 (01:16)

アダム・スミスの市場経済と差異共鳴的市場経済:差異共鳴社会と自然消滅貨幣制度創設へ向けて

アダム・スミスの市場経済と差異共鳴的市場経済:差異共鳴社会と自然消滅貨幣制度創設へ向けて

テーマ:トランス・モダン経済:差異共振資本経済

以下、トランス・モダン経済、超越光経済のための資料として、転載させていただく。
 アダム・スミスの経済であるが、以下の説明から見ると、「結合原理」がテーマであったようだ。
 それは、PS理論では、差異共振・差異共鳴原理である。すると、スミスの『道徳感情論』と『国富論』を合わせると、スミスの市場主義とは差異共鳴的市場主義を示唆しているのではないだろうか。
 思うに、企業が得た利益であるが、それは、差異共鳴価値なのである。だから、それは、資本家や株主が中心的に占有するのは、科学的に誤りである。本来、差異共鳴価値としての企業利益なのである。だから、利益を差異共鳴価値として使用するのが本来的、正当的なのである。
 これには、労働者の自由な生活を保障する報酬を与えないといけないのである。また、社会共同体、自然価値のための贈与も行うべきである。
 当然、合理性価値を創造するための技術革新も必要である。結局、差異共鳴創造をつねにフィードバックする仕組みが必要なのである。本来、市場は差異共鳴創造の場である。
 そして、利益は民衆の自由な生活を維持するための報酬へと分配されなくてはならない。つまり、個々の差異の共鳴文化社会を維持する必要があるのである。
 そう、差異共鳴社会身体を進展させる利益配分でなくてはならない。問題は貨幣である。同一性主義貨幣である限り、同一性価値としての貨幣・資本が支配する。だから、やはり、貨幣は自然減価させる必要があるだろう。同一性主義貨幣とは、虚偽・虚構的貨幣なのである。ガン貨幣である。
 だから、ゲゼル経済の導入がトランス・モダン社会創造のためのキーポイントとなるだろう。

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資料:

c20-3 スミスの業績
スミスといえば④『国富論』(または『諸国民の富』)となります。しかし彼はその17年も前に②『道徳感情論』(または『道徳情操論』)を刊行しています。つまり彼には二つの顔があって道徳哲学者として思想史的に捉えれば②と④が、経済学者として政策論的に見れば④が意味を持ちます。これはマルクスにおける『史的唯物論』と『資本論』の関係に酷似しています。ところがここでは①『天文学史』というまったく異なる視点からスミス第三の顔に光を当ててみます。なぜなら『天文学史』がスミス体系に方法論を提供している点に着目するからです。
彼は多方面にわたる業績にもかかわらず主著は前記2冊に限られ、しかも両著に対しては意欲的に改訂を繰り返しています。一方、彼は死を前にして一部を除いてすべての未完成原稿を焼却するよう遺言執行人に依頼しました。①『哲学論集』は幸いにも焼却を免れた遺稿で死後5年たって発行されました。『哲学論集』に含まれている『天文学史』は、当時の科学革命つまり天動説から地動説への移行に関する彼の見解を示す貴重な資料であります。その内容はニュートン体系に方法論的な評価を加えたものです。詳細は割愛しますが鍵概念は『結合原理』にあります。次に示す理由からこの結合原理は難解とされるスミス体系を解き明かす暗号表の役割りを果たしていると考えます。
ここで留意すべきは彼が熱心な理神論者だった事実です。理神論(deism)は啓示宗教に対する理性宗教を指し17世紀から18世紀にかけてヨーロッパにおいて展開した合理主義的自然宗教でルソーなどが知られています。宗教(religion)の原義は再結合を意味し、キリスト教あるいは聖書の基本思想はこの再結合あるいは中心回帰にあります。愛 はその現象化された表現といえます。(理神論に関しては参考文献(7)(8)参照)

c20-4 ニュートン的方法論
アイザック・ニュートン(1642-1727)はスミスが4歳のときに世を去っています。(e42近代史上の主要人物 参照) そのスミスは表c20①に示すように25歳から35歳にかけて『天文学史』を執筆しています。この期間はオックスフォード大学留学から帰国して『道徳感情論』刊行までに相当します。『天文学史』はニュートン体系の評価を結論とするものでその中でスミスは次のように記しています。「説明困難とされる現象が、ある原理から演繹されすべて1つの連鎖に統合されているのをみることは喜びである」 別のところではさらに具体的に「彼はよく知られた1つの結合の原理で惑星の運動をともに結びつけることが出来ることを発見した。そしてそれは、それまで想像力がそれらに注目する場合に感じていたすべての困難を完全に取り除いた」と述べています。ちなみにこれはスミスの学生が講義をノートした記録が解読され1983年に公表されたものです。(詳細は参考文献(9)参照)
スミスの言明は疑いもなくニュートンによる万有引力の法則発見を指しています。ニュートンは逸話の多い科学者として知られますが「先人の肩に乗って仕事をする」との言葉を残しています。これは一般的には先達の知恵に学ぶ意味ですが、具体的にはガリレイによる物体落下の実験結果とケプラーによる天体運動の法則を統合してニュートン体系を築き上げた自身の経験と受けとれます。地上のリンゴが地面に落ちるのに天上の月はなぜ落ちないで地球の周りを回っているのか。ニュートンの非凡さは月は斜めに地球に落下しているとして万有引力の法則発見に至った慧眼にあります。つまり万有引力がリンゴの落下と月の円運動をつなぐ結合原理となっています。(詳細は参考文献(12)参照)
ニュートン/結合原理に肖れば電脳経済学の立場は次の通りです。情報 は情報属性(17)に示すように「隠された連鎖の結合として発見」されます。一方、情報ビッグバーン によれば情報構造は宇宙自体として開闢当初から埋め込まれていて、それは不可視与件つまり神様から人類へ与えられた永遠の宿題となります。

c20-5 スミスによる社会構成
ニュートン体系とスミス経済学の方法論的な関係性は現在のところ不明です。しかし利用可能な資料を統合的に解釈すれば図c20-2スミスによる社会構成に示す方法論が推定できます。スミス経済学やマルクス経済学は政治経済学 (Political Economy) と呼ばれ近代経済学 (Modern Economics) と区別されます。それは目的論のありかが経済学体系の内か外かの違いによります。スミス経済学の目的は題名通り国富の増進であり、経済学はそのための方法論となります。図c20-3目的論と方法論にこの関係を示します。この方法論は帰納と演繹を反復して目的論に収斂させる普遍的な問題解決法であり、マルクスの場合は下向法と上向法がそれに対応します。近代経済学体系内における目的論は利益最大並びに効用最大が設定されます。しかし体系外では各自設定に任されますので目的論の文脈から目的連鎖を組み立てる 必要があります。差し当たりは自己実現でよろしいかと思います。
図c20-2②市民社会として示すように、スミスは『道徳感情論』(1759)において人間が利他的に振舞う根拠つまり市民社会成立の条件として「同感」を挙げています。つまり同感を市民社会の結合原理に据えればその構成員相互間で価値の共有が可能となります。同感とは自他置換の思考法を指します。自分と他者を置き換えるつまり相手の身になって感じることです。それは同情とか共感と呼ばれる感情にほかなりません。ちなみに、この同感/同情/共感による感情/価値の共有さらには学習/社会の成立も根元を辿れば脳のミラー・ニューロン の働きにあり交換モデル はこれを経済系の文脈から模式的に表現したものです。ここでは『道徳感情論』における感情を『国富論』における価値に対応させる伏線が感じられます。絶対価値から経済価値への絞り込みともいえます。
他方で図c20-2④経済社会にあるように、彼は『国富論』(1776)において人間は交換によって私益を最大化しようとする利己的な存在としています。つまり彼は「各人は自己の利害だけを考えるが、結果的には社会の一般的利益の最大限の増進という各人が全然意図しなかった目的を実現させる」と喝破しました。 この関係を彼は『見えない手』(『見えざる手』ともいう)(an invisible hand) に導かれてと表現しました。この表現は『国富論』全巻のなかで第4編第2章に一度現れるだけですが、個人と社会の自然的調和の思想を象徴するスミスの言葉としてあまりにも有名です。
スミス経済学の核心部分は図c20-2④経済社会にありそれは次のように再整理できます。③重農主義は紛らわしい訳語で注意を要します。日本で農本主義と呼ばれる農業立国思想とも自然主義思想とも異なり原語はPhysiocracyで物質的ないし物理的な生産を意味します。一方のMercantilismつまり商業的な交易と対応させたうえで両者を結合しています。現代風にいえば生産と流通を統合的に扱う方法論として経済学を提示しました。ちなみにケネーの『経済表』はここで意味を持ちます。さらに生産を分業の視座から捉え、その帰結として交換が要請される。図c20-2にあるようにその下部構造として同感社会を、さらなる下部構造として夜警国家を据えました。この3段構えの構図は史的唯物論 における上部構造と下部構造を上下反転した表現になっています。いずれにしても両者に共通する主張は経済過程に社会成立のためのエンジンの位置づけを与えている点です。

c20-6 スミス体系における見えない手
スミス体系の要諦は前節で述べた『見えない手』を私益と公益の結合原理に据えている点にあります。見えない手の含意について彼は自身の思想と理論を『国富論』として提示しています。ニュートン体系における結合原理が万有引力とすれば、スミス体系における結合原理は「見えない手」となるのでしょうか。私の理解では「見えない手」は問題提起であり『国富論』はその例解体系となります。ちなみに万有引力の結合原理を「質量」とすれば、スミスは「見えない手」の結合原理を「価値」と呼びその源泉を労働に求めています。この文脈を辿ると「見えない手」は「交換性向」を指しているとも解釈できます。「見えない手」が社会の仕組みを指すのかあるいは特定の概念を指すのか不明ですが、万有引力に対応させれば「交換性向」の方が分かりやすいと考えます。つまりスミスが後世に託した課題は”交換性向の現実化を目指す社会のあり方を問う”と思われます。ちなみに「交換性向」についてスミスは「人間だけに見出せるが、われわれの当面の研究課題には属さない」としてさらりとかわしています。

c20-7 電脳経済学における交換性向と見えない手 (一部追加:2007年02月07日)
なお電脳経済学では交換モデル に明示する通り “交換は情報 交換を意味し” 意識 の拡大化を通して梵我一如 に至るとします。再度確認すれば、貨幣はあくまで “情報の担体”であり情報や価値自体ではありません。貨幣は計量化や可塑性 の文脈からすぐれて有用ですがそれ自体が目的とはなり得ません。お金に関する世の悲喜劇はこの取り違えに起因しています。
自明の事実として人間は情報なくして生存を確保できないし救済もあり得ません。見えない手は市場(価格決定)機構 とされますが情報技術の進展に伴い価格はかなり予測可能です。見えない手はむしろ隠された連鎖を巡る結合原理とみるべきで情報ビッグバーン への回帰を指すと考えられます。(ji3情報 ji3-5D(17)(23)-(25)参照)前記の “意識の拡大化” はそれへ向けての当面の目標と言えます。

http://www.yk.rim.or.jp/~mitsunob/c-econo1/c20.html

電脳経済学v3 > c経済系1 > c20 アダム・スミス体系の構図
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